web-EDIとは?企業間取引の効率化に欠かせない技術を知ろう

経済産業省の報告によると日本のbtobでは約3割がec化しており、そのなかには相当数の「web-EDI」が含まれると考えられています。円滑な事業の運用のためにも、企業はweb-EDIへの理解を深めることが求められます。一体、web-EDIとはどのようなものなのでしょうか。そこで、この記事ではweb-EDIの概要や導入のメリット・デメリットについて解説します。

1.EDIとは何?

EDIは「Electronic Data Interchange」の略称であり、企業間で電子データの交換を行うことを指します。btob取引では「受注・発注」「出荷・納品」「請求・支払い」などに関するデータのやり取りが必要です。従来のアナログ式の業務方法では、まず発注側が紙の伝票や発注書を作成し、受注側にFAXや郵送で送付する必要がありました。その後、受注側で届いた注文内容を社内システムに手入力し、請求書を作成してFAXや郵送で発注側に送付します。そして、それを受け取った発注側が請求内容を社内システムに入力するという流れが一般的です。また、内容によっては適宜電話でのやり取りが必要になる場合もあるでしょう。受発注は日常的に行われる業務であるものの、このような多大な手間やコストがかかることが大きな課題とされてきました。

そこで、企業間の取引をより円滑に行えるように考えられたのが「EDI」なのです。EDIは企業間の相互の取引情報を専用回線で接続し、利用できるようにしたものです。他社から送付されたデータを自社で取り込み、変換することで取引を行うことができます。なお、変換できるデータには文字コード・レイアウト・データコードなどが含まれます。ediの導入によって無駄が多い作業を省くことができ、業務負担を大幅に減らせるようになりました。

2.web-EDIと従来のEDIの違いは?

従来のEDIに加えて、導入が広まりつつあるのが「web-EDI」です。従来のEDIとweb-EDIとでは、一体どのような違いがあるのでしょうか。導入前にきちんと相違点を確認しておくことが大切です。まず、従来型のEDIは「固定電話網」「ISDN」などを利用することが特徴として挙げられます。この方法の場合、一般電話回線を利用するため通信費が発生したり、通信速度が遅かったりするなどの難点があります。また、通信速度の関係上、画像を送れないことも難点です。加えて、従来のEDIは取引先によってソフトの使い分けが必要です。取引先が多い場合は処理に手間がかかりやすいという側面があります。企業によっては業務効率を向上させるためにEDIを導入したものの、かえって作業が煩雑になってしまったというケースも少なくありません。

一方、web-EDIは「Webサーバー上に構築されたシステム」を利用することが特徴です。Webブラウザを経由し、システム操作やデータの送受信を行うことになります。web-EDIは従来のEDIとは異なる仕組みになっており、商取引がより円滑に行える多くのメリットがあることから、多くの企業で導入が進んでいます。

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3.従来のEDIはそのまま使える?

すでにEDIを導入していたりweb-EDIとどちらを選ぶか悩んでいたりする場合、「従来のEDIはそのまま使えるのだろうか」と疑問を持つ人もいるでしょう。そもそも、従来のEDIは電話回線を利用する仕様上、前述の通りどうしても通信速度が遅かったり画像がうまく送れなかったりするなどの難点がありました。このような難点は業務の円滑化を図る企業にとって非常に大きな問題となっていたのです。そのようななか、時代の変化とともにISDNのデータ通信サービスが2020年をめどに終了することとなりました。これにより、既存の電話回線も2024年をめどにIP電話網へと移行する必要があります。つまり、今後のEDIにおける通信インフラは固定電話回線からIP電話網へと変更となり、従来のEDIを導入している場合はweb-EDIへの移行が必要なのです。

なお、web-EDIはブラウザベースで使用できるため、インターネットに接続できるパソコンさえあれば利用可能です。専用のソフトを端末にインストールするなどの手間もかからず、導入のハードルも低いでしょう。このような理由から今後はweb-EDIへ移行する企業も増え、インターネット回線を経由したやり取りが盛んになることが予想されています。

4.web-EDIの導入で何が変わる?

web-EDIを導入した場合、企業にとってどのような変化があるのでしょうか。ここでは、導入による変化について見ていきましょう。

4-1.btobをブラウザ操作で自動化

web-EDIはパソコンのブラウザを利用し、システムにアクセスすることになります。これにより、企業間商取引のデータを自動化することが可能です。従来のアナログのやり方では、ビジネス文書のやり取りはFAXや郵送を使う必要がありました。しかし、このやり方だとどうしても文書を作成する手間がかかってしまいます。それに、郵送したものがきちんと相手に届いているかどうか、電話で確認を行う企業も多いものです。すると、受注側・発注側のどちらにとっても時間のロスにつながります。

web-EDIを導入すると、ブラウザ操作のみでこうしたやり取りのデータを自動化できます。伝票や帳簿の打ち出しはもちろん、確認の電話も不要です。無駄な手間を削減でき、業務スピードの向上や業務負担の削減に役立てられます。

4-2.クラウド利用でアップデート不要

web-EDIはブラウザ上のシステムを操作するものであり、現行のweb-EDIの約7割はクラウド上のシステムを利用しています。従来のEDIを利用する場合、専用のソフトをパソコンにインストールする必要がありました。さらに、円滑な運用のためには定期的にアップデートを行うことが前提です。パソコンの入れ替えの際は、使っていたEDIがきちんと作動するかどうか確認することも必要になります。従来のEDIは動作確認を丁寧に行う必要があり、非常に手間や時間のかかるものでした。

その点、web-EDIはクラウドで提供されるため、システムの運用は提供元に任せることができます。もちろんアップデートなどの手間もかかりません。一般的なパソコンを介してシステムにログインできるため、スペックを気にせず操作を行えます。メンテナンスおよび維持にかかる手間や負担を軽減できるでしょう。

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5.web-EDIのメリットとデメリットは?

web-EDIにはメリットとデメリットがあります。きちんと両方を確認したうえで導入を検討することが大切です。具体的なメリット・デメリットには、以下のようなものが挙げられます。

5-1.web-EDIのメリットは?

web-EDIを導入するメリットには、以下のようなものが挙げられます。まず、「企業双方の取引データを自動的にやり取りできる」ことです。従来のやり方のように、わざわざ取引内容を伝票に起こしたり、紙の請求書を発行したりしなくて済みます。こうした工程に割いていた人手を解放できるでしょう。

それにともない、「人的ミスの減少」にもつなげられます。注文書や請求書の作成、受注データの入力などを人の手で行っていた場合、どうしても人的ミスが発生してしまうものです。注意深く作業を行っていたとしても、ミスをゼロにすることは非常に難しいでしょう。受発注業務でこうしたミスが生じると、出荷の日時がずれたり請求金額が合わなくなったりするなどのトラブルが発生する原因になり、多くの企業は頭を悩ませてきました。その点、web-EDIではインターネット上のシステムを介して受発注データが直接登録されます。これにより、見間違えや入力ミスなどが発生しなくなるのです。

それ以外にも、「ペーパーレス化を図れる」というメリットがあります。注文書・請求書などをFAXや郵送で送る場合、どうしても紙を使用することが前提となるでしょう。一方、web-EDIではシステム上のやり取りとなるため、データを紙に印刷する必要がなくなります。その結果、FAX用紙の購入費や郵送費などを効果的に削減できます。また、紙に印刷をしないということは、そもそも伝票を保管しなくて済むということです。保管スペースを確保でき、その業務に使っていた時間もほかのことに活用できます。

加えて、「イニシャルコストやランニングコストが安い」こともメリットでしょう。web-EDIは専用のソフトやシステムが不要であり、低コストでの導入が可能です。クラウドでの提供となるため提供元が運用・管理を行っており、ランニングコストも安価な傾向です。さらに、「回線速度が速い」こともメリットとして挙げられます。web-EDIは通常の電話回線と比較すると回線速度が速く、業務処理スピードの向上を期待できます。web-EDIは「セキュリティが優れている」ことも強みです。暗号化技術が発達しているセキュアな環境下でやり取りを行えるため、機密性が高い情報も安心して取り扱うことができます。

5-2.web-EDIのデメリットは?

web-EDI導入のデメリットには、以下のようなものが挙げられます。まず、「システムが標準化されていない」ことです。web-EDIはcsvファイルのフォーマットが統一されていません。標準仕様がないため、企業ごとに画面レイアウト・出力帳票のレイアウト・データの種類などが異なり、独自性の強いものも多くみられます。もしも取引先とEDIシステムの仕様が違う場合、商取引の電子化を行えないため注意しましょう。取引先が異なるweb-EDIを導入した場合、それぞれに合わせたcsvファイルを生成し、取込む必要があります。すると、オペレーションが煩雑になってしまうおそれがあるでしょう。

それにともない、「取引先と仕様が違うものを選ぶと使いづらい」点にも留意する必要があります。独自のEDIシステムを構築している企業も多く、仕様調整を行わなければならないケースも少なくありません。web-EDIを導入する際は、取引先企業との兼ね合いをあらかじめ確認しておくことがおすすめです。特に、web-EDIの仕様を選ぶときは通信プロトコルに着目しましょう。通信プロトコルとは、通信を行うための手順やルールのことです。主なプロトコルには「EDIINT AS2」「OFTP2」「ebXML MS」、「JX手順」「SFTP」「全銀協標準通信プロトコル」の6種類が挙げられます。導入にあたり、自社と取引先とのweb-EDIの通信プロトコルをそろえる必要があります。複数のプロトコルから選べるものにすると良いでしょう。

まとめ

従来のEDIを導入している企業は、web-EDIに移行していく必要があります。web-EDIは企業の商取引業務を円滑化できる便利なシステムです。導入時や維持にかかるコストも安い傾向にあり、導入のハードルの低さが魅力です。ただし、システムの標準化がされていないため、導入時は取引先との調整を行うことが重要になります。きちんと仕様を確認し、使い勝手の良いシステムを選んで導入しましょう。

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