少子高齢化が企業に及ぼす影響と対策をわかりやすく解説

1.少子高齢化が引き起こす深刻なビジネス課題

近年、少子高齢化の進行が企業経営において深刻な影響を及ぼしています。その中でも最も直接的で喫緊の課題となっているのが、「人材不足」です。
内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によれば、日本の人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少傾向にあり、2056年には1億人を割って9,965万人、2070年には8,700万人に減少すると推計されています。また、出生数の減少により、生産年齢人口(15~64歳)も1995年以降減少しており、2070年にはわずか4535万人となると推計されています。

出典:令和4年版高齢社会白書(高齢化の現状)

さらに経営者の高齢化に伴い、企業数の減少も新たな課題となっています。 国内企業数の推移は年々減少傾向にあり、2016年では359万社となっています。規模別に増減率を見ると、1999年時と比べていずれの規模においても企業数が減少し、特に小規模企業の減少率が最も高くなっています。また業種別に見ても、1999年時と比較して、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「運輸業、通信業及び情報通信業」では企業数が増加している一方、その他ほとんどの業種の企業が減少傾向にあります。
こうした状況下では、すでに雇用している従業員がいかに効率的に働けるかを追求する必然性が高まっています。

出典:企業規模別企業数の推移

2.少子高齢化に伴うSMB企業への影響

生産年齢人口や企業数の減少から引き起こる、様々な社会的・経済的課題の影響について詳しく解説します。
業務の中でも特に煩雑になりがちな受注処理業務では、人材不足の中で既存の従業員は本来の仕事に加えて頭数以上の業務をこなさなければならず、残業の慢性化やワークライフバランス崩壊などが生じます。過酷な労働環境は社員のパフォーマンス低下を招き、業務がスムーズに進まないことで残業がますます増加する悪循環に陥ります。
さらに、この状況が続くと、従業員のモチベーション低下や健康問題が生じ、最終的には離職や退職に至ります。その結果、業務遅延や従業員の離職により、納品遅れや製品・サービスの品質低下が発生し、取引先との信頼関係が損なわれかねません。
離職率の上昇は企業にとって大きな損失であり、最終的にはこれらの影響が企業の収益性にも直結し、人件費や採用コストの増大、取引先の減少により、自社の売上や利益が減少します。こうして、人材不足は企業において様々な連鎖反応を引き起こし、経済的な課題に発展していくのです。

3.具体的な解決策(BtoB-ECの導入

3.1: 自動化による業務効率化

生産年齢人口減少が加速する中、従業員不足を大量採用で補う従来の手法はすでに限界に直面しています。人材不足が企業にもたらす深刻な影響から脱却するためには、人に依存せずに業務を効率的に進めるための体制構築が不可欠です。
これまで日本のBtoB取引は、主に電話やFAX、メールなどのアナログな手法が一般的でした。しかし、インターネット、パソコン、スマートフォンなどの普及により、EC化に適した環境が整ってきています。
BtoB取引においても、手作業で打ち込んでいた業務を自動化することで、業務プロセスの自動化や効率化、ヒューマンエラー削減が可能となり、従業員の負担が軽減され、より生産的な業務に集中できるようになります。
また、自動化により受注側の業務効率化はもちろんですが、取引先側の利便性向上にも寄与します。商品の詳細情報の閲覧や、在庫や納期、購入履歴等の確認が可能になることで、取引先は営業担当者や問い合わせ窓口へ連絡する手間を省くことができます。近年Webから注文したいといったBtoB企業も増えてきており、Web注文できないことによる他社への乗り換えといったリスクに対応していくためにも、BtoB-ECの導入が今後ますます重要となっています。

3.2: 販路開拓による新規顧客獲得

また、生産年齢人口や企業数が減少している中、持続的な事業展開を図る手段として、BtoB-ECによる販路開拓が非常に注目されています。
現在のBtoB取引においては、営業担当者の限られた時間・人員による飛び込み訪問やルート営業等の、対面での営業活動が一般的です。しかし、新規顧客の獲得は既存取引先の企業や役員などの紹介からが多く、新規開拓をあまりできていない企業が多くあります。さらに、新型コロナウイルスの影響で対面での営業活動が制限を受け、今後事業が続かなくなるようなリスクも発生しました。そのため、今後BtoB取引でも対面営業だけでなく、非対面でのリソースをかけずに新規開拓が可能なBtoB-ECの導入が重要になっています。
BtoB-ECを導入することで、これまでの訪問や電話営業に加えて、Webサイト上での集客が可能となり、メルマガ配信、割引・送料無料などのキャンペーンや施策を通じて、広範な顧客層にアプローチすることが簡単になります。
また、ECによって24時間365日、日本全国にオンライン営業が出来るようになることによって、これまでの地域にとらわれず、全国への販路拡大を実現することも可能です。

4.まとめ

日本はこれから、過去に類を見ない水準の人口減少を経験することになります。少子高齢化に伴う人材不足や取引先数の減少は、企業経営に深刻な課題や影響を与えています。この課題への有効な対策として、人に依存しない体制の構築と販路開拓が必要不可欠です。
また、BtoB-ECでの新たな販路の開拓によって新規顧客を獲得することで、企業は将来にわたる持続的な成長を実現できるでしょう。
これらの戦略的アプローチを組み合わせつつ、変化に対応し柔軟な経営体制を構築することが、企業の競争力を強化し、不確実性の高いビジネス環境においても成功を収める鍵となります。今後、時代の波に乗り遅れて淘汰されないように、EC化システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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