btob-ecを始める際には、事前の準備として決済方法を決めておく必要があります。しかし、複数の決済方法のなかで最適なものはどれであるかを選ぶことは簡単ではありません。また、そもそも取引先が選べる決済方法の選択肢はできる限り多く用意しておくことが大事です。そこで、この記事では、btob-ecに合う決済方法について具体例を挙げながら詳しく解説します。
1.bto-ecサイトとは?
btob-ecサイトは、「b2b」とも表記する「btob」とecのwebサイトを意味する「ecサイト」を組み合わせて作られた言葉です。btobは「Business to Business」の略で、法人同士で行う取引を指します。一方、ecは電子商取引を意味するElectronic Commerceの略で、ecサイトは商品やサービスの売買に関わる一連の取引をインターネット上で行えるように設けた販売サイトです。つまり、btob-ecサイトとは法人間の取引で利用するために設置されたecサイトを意味します。ちなみに、企業と消費者間の取引はBtoC(Business to Consumer) 、消費者同士の取引はCtoC(Consumer to Consumer)です。
法人と法人の間で行われる取引の場合、CtoCやBtoCのような個人を取引相手にするケースと比べて取引単価が大きく、また、関係が継続的に続く傾向にあります。さらに、付き合いが長いなど取引関係の深さによっては信頼関係のうえで成り立つ掛売りが行われることも少なくありません。掛売りとはお互いの承諾のもとで行われる後払いです。通常であれば、商品やサービスを提供するタイミングで代金の支払いが行われます。しかし、掛売りの契約をしている場合には、約束した期日までに支払いを行うことを前提に、先に商品やサービスを提供します。
2.btob-ecサイトに適した決済方法とは?
btob-ecサイトの運営で利用できる決済方法にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、btob-ecサイトに適した決済方法を具体的に5つ紹介します。
2-1.クレジットカード決済
キャッシュレス決済の広がりに併せて利用者が増えているのがクレジットカードです。個人が利用するような企業や店舗などでも導入するところが増えていますが、法人間の取引でも活用度の高い方法となっています。まず、クレジットカード決済にすると、入金確認の負担が軽くなる点が魅力です。クレジットカード会社経由で毎月決められた日に入金されるため、各取引先が支払いを行うたびに入金確認をする必要がありません。さらに、取引先の与信管理を自社で行わずに済む点もクレジットカード決済を導入するメリットです。クレジットカードを利用するためにはクレジットカード会社による審査に通る必要があります。つまり、クレジットカードを利用できる会社であるということは支払いにおいて一定以上の信用がある会社ということです。加えて、請求書の発行もクレジットカード会社が行うため、書類の作成や発送にかかる手間を省けます。
ただし、クレジットカード決済の導入には決済手数料がかかるため注意が必要です。また、企業のなかにはコーポレートカードを持たないところもあり、たとえ個人でクレジットカードを持っていてもb2bでの使用はためらう顧客もいます。そのような場合には、自社でクレジットカード決済のシステムを用意していても利用してもらえず、クレジットカード決済しか決済方法がないと顧客を逃してしまう可能性もあります。
2-2.銀行振込
歴史的にも長く利用されている銀行振込は支払方法として多くの人に馴染みのある方法です。振込先となる金融機関と口座を事前に取引先へ伝えておき、取引代金を支払期日までに振り込んでもらいます。銀行振込の場合、商品の発送の前に入金確認を行うため、代金が未払いとなるリスクを防げる点がメリットです。
ただし、一方では、入金の確認ができるまで商品の発送に進めず、迅速さが求められる取引では利用しにくい方法となっています。納期が長い取引を行っている企業しか利用できない支払方法です。さらに、取引先によっては、商品やサービスの提供を実際に受ける前に支払いをしなければならないことに警戒心を持たれる場合もあります。また、振込日は取引先によってまちまちとなるため入金確認が面倒です。特に取引が頻繁に行われる場合には、確認の負担がより一層大きくなります。入金確認の負担を少しでも軽くするためにはweb上で入金確認ができるバーチャル口座を開設して振込先に指定するとよいでしょう。
2-3.口座振替
口座振替は金融機関に事前登録すると指定した口座から自動で定期的に代金が引き落とされるサービスです。引き落とされるタイミングや金額は前もって決めておきます。定期的な引き落としを行う方法であるため、毎月支払いが発生するような継続的な取引に向いています。口座振替を利用するメリットは、ほかの決済方法と比べて手数料が安く済む点です。たとえば、銀行振込の場合には1回の支払いごとに取引先が振込手数料を負担しなければなりません。また、代金は取引先の預金口座から自動的に引き落とされるため支払いを忘れられることがない点もメリットとして挙げられます。取引先にとっては、支払いが発生するたびに振込手続きをする必要がないため楽です。ただし、取引先の預金口座に十分な残高がないと引き落としできず、未払いとなる場合もあります。
加えて、登録から利用開始まで時間がかかるため気を付けなければなりません。金融機関や登録時期によっても異なりますが、一般的には、口座振替が始まるまでに登録から1~2カ月ほどの時間がかかります。自社で金融機関の手続きを行わなければならない場合には、時間がかかり面倒です。
2-4.代金引換
代金決済とは、宅配業者が商品を引き渡す際に代金の決済も行う方法です。取引先は商品の受取時に、取引金額と代引手数料の合計額を宅配業者に支払います。そして、取引金額と代引手数料を受け取った宅配業者は、宅配の依頼元である企業に振込手数料を差し引いた残額の振込を行うシステムです。代金決済を利用すると振込手数料の負担はありますが、商品の引き渡しと同時に代金を徴収できるため、未払いのリスクがありません。また、取引先も商品の受け取りと同時に支払いができるため安心です。ただし、代引手数料が別にかかることから、代金引換による取引を敬遠する企業もあります。
加えて、取引がスムーズに進まない可能性もあるため注意が必要です。代金引換は商品の引き渡しと代金の支払いが同時に完了しないと成立しない方法です。たとえば、担当者が不在となることが多く、荷物を受け取るタイミングが合わないと、予定より取引が遅れてしまう場合があります。オフィスに置いてある現金が足りない場合にも、宅配業者が荷物を引き渡すことができないため取引は滞ります。
2-5.掛売り
掛売りとは、支払いを個々の取引別に行うのではなく、後日、一定期間分をまとめて行う方法をいいます。短期間に複数回の取引があり、それに伴って支払件数も多くなりやすい法人間の取引では、最も一般的な決済方法です。複数回分の取引をまとめて支払うため、支払手続きにかかる負担や時間を軽減できます。また、取引は手元に資金があって初めて実行できるものです。取引のたびに支払いをしていると手元の資金が減ってしまいますが、掛売りであれば後払いとなるため資金繰りがしやすく、大きな金額でも取引しやすくなります。さらに、btobでは最も需要が高い決済方法であるため、取引先のニーズに合わない可能性が低い点もメリットです。取引先が希望する決済方法が用意できていないことで取引を逃すリスクを抑えられます。
ただし、商品の受け渡しを何度も行った後に支払いを受けるため、未払いリスクが特に大きい点がデメリットです。未払いとされないためには、事前に取引先の与信審査をきちんと行い、それに応じた与信限度額を設定しておくなどの対策を取る必要がありますが、そもそも与信管理が面倒ではあります。加えて、すべての取引先に対して必ずしも十分な与信審査ができない場合もあるため気を付けなければなりません。ecサイトはインターネット上で取引ができるため、取引先の場所を選ばない点が魅力です。しかし、取引対象となる企業が全国各地に広がり、中小零細企業も含まれるため与信審査が困難となり、未払いリスクが高まる可能性もあります。
3.btobでは選択可能な決済方法を増やすべき?
btobで行うecは1回の取引額が大きく取引が継続しやすいなどビジネスとしてさまざまな魅力があります。そのため、決済方法を原因に取引のチャンスを減らしてしまうことは損です。自社の決済方法が合わないために逃した取引チャンスをほかの企業に取られてしまう可能性もあります。そのため、できる限り決済方法の選択肢は多く用意しておくことが得策です。決済方法の選択肢が多いほど、取引先のニーズに応えられる可能性を広げられます。ただし、決済方法を増やす場合には、その分、自社が背負う手間が増えることも知っておきましょう。クレジットカードや口座取引を支払方法として導入する場合、事前に利用するクレジットカード会社や金融機関に個々で申込をしなければなりません。面倒な手続きの手間を抑えたい場合には、決済代行会社の利用なども視野に入れるとよいでしょう。
4.取引先に応じて決済方法を変えられる楽楽B2Bが便利
btob-ecサイトでは利用が長く続くケースが多く、取引の機会が増えるうちに、どのような方法が適した決済であるかが定まってきます。取引を続けるなかで合うと感じる決済方法は企業によって異なり、より多くの企業に利用してもらうためには決済方法の選択肢を広げておくことが大切です。ただし、ただ選択肢を多く用意しておくだけではなく、各取引先が決済方法を自由に選べるシステムも設定しておかなければなりません。btob-ecカートなら、銀行振込やクレジットカードの利用など複数の決済方法のなかから希望の方法を取引先ごとに自由に選べます。また、各取引先で異なる掛率や指値、ロット単位での割引の設定、取引先別の商品表示などもできて便利です。
まとめ
btobーecの運営において決済方法の選択肢を広げておくことは大事です。しかし、ビジネスとして成功させるためには決済方法以外の課題に向けた対策も取る必要があります。決済方法を充実させるために運用の負担を増やしてしまっては元も子もありません。そのため、決済方法の選択肢を広げながら、さらに、入金管理もしやすく、取引先ごとに設定も変えられるbtob-ec専用カートの導入はおすすめです。